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団体概要

特定非営利活動法人 響心会のサイトへようこそ

​私たちは精神障害を持つ人たちが街の中で暮らしていけるように支援活動を行いながら、

さまざまな人と人が理解し合おうとし、

共に生きていくことを地域社会へ呼びかけるNPO法人です。

このサイトをご覧になって響心会の活動に興味を持たれた方は、是非私たちにご一報ください。

一人でも多くの方のご賛同をいただきながら、

私たちの活動が地域社会に広がっていくことを願ってやみません。

そして精神障害を持つ一人でも多くの方が、地域の中で、

ごく自然に生活できるよう、ご一緒に考えていただければ、と思います。

全ての障害者は、ありのままの自分を受け入れ

人生の舵をとり、世界を変えることができる

設立趣意

 わが国は、精神医療・保健・福祉分野で、意識やシステムの点で先進国に比べて非常に遅れていると言われています。例えば医療分野においては、精神科特例(患者数に対して他科が必要とする医師数の1/3・看護師数の1/2〜2/3でよいとすること)の制度、入院の長期化や精神病院内での患者さんの処遇など、様々な問題を抱えています。約30万人もの入院者が居る中で3人に1人に当たる10万人もの人が、病気が軽快しているのにも関わらず、社会的な受け皿が無いために何年、何十年にもわたる入院を余儀なくされているのです。

 そのような隔離収容から、地域で生活することを支える方向へ、国の施策

も含め少しずつ転換し始めていますが、在宅の<精神障害者>を支援する社会資源がまだまだ不足しているのが現状で、医療制度の改善と共に、福祉面での一層の充実が叫ばれています。また、多くの人が心の問題を持つ中で、わが国は世界的にも自殺者の数が多く、心を病む人も増え続けています。国内の<精神障害者>はわかっているだけでも約220万人もおり、全般的なメンタル・ヘルスの必要性も求められています。これだけ普遍的な社会問題であるにも関わらず、何故私たちの社会はこの問題を身近に感じてこなかったのでしょうか。

 心の病は一般的に理解されにくい病気であり、また1900(明治33)年に「精神病者監護法」が制定されて以来、心の病を持った人たちが地域社会から遠ざけられてきた結果、私たちの社会は彼らへの差別や偏見を助長して来ました。そして現在でも、一旦「精神病」と診断されてしまうと、病気が軽快しても元通りの社会生活に戻ることは難しく、偏見にさらされ社会的孤立を深め、再入院したり、家の中に閉じこもることを余儀なくされ、生活の様々な場面で人権を侵害されてきました。また、このような実態から、心の問題を持つ人が気軽に医療や社会資源を使えずに、状態が悪化するという事例も多く指摘されてきました。

 精神科で扱う諸疾患の発病率は決して低くなく、誰もが罹る可能性がある病気です。そして慢性の経過をとることから長期的できめ細かい対処が必要とされています。また、心の問題というのは誰にでもある普遍的なものだともいえます。これらのことを私たちの社会が重大かつ身近な問題として取り扱ってこなかったことが、心の問題を抱えた人にとって大きな社会的障害になっているのです。

 以上のような制度上の問題や差別・偏見・無理解・無関心という人々の心に根ざす問題が、複雑に絡み合って、悪循環を形成していると思われます。

この、精神医療・保健・福祉を巡る諸問題について、既にベルギーのギールにおける里親を含めた地域医療制度、イギリスの精神医療改革に端を発した在宅福祉、イタリアのトリエステにおける精神病院廃止と精神保健センターの設立、カナダのバンクーバーにおける救急医療と地域医療・福祉など、ヒントになる施策を持っているところがあります。わが国でも、心の問題を抱えた人としての<精神障害者>の概念が定義され、ようやく障害を持った市民と云う考え方が根付く基盤が作られだしました。しかし、これらはまだまだつたない歩みを始めているに過ぎません。

 <精神障害者>が地域の中で一市民として当たり前に暮らしていくこと、法や制度上の差別のみならず地域住民の中でも彼らの存在が特別に意識されないこと、地域社会の一員として役割を持ち自分らしく生活することができ自らの自尊心を回復すること、そしてそのようなことを可能にするまちづくりが、ひいては全ての人にとって暮らしやすい地域社会の構築につながってゆくのではないでしょうか。それが正に人間社会の望ましい姿だと思うのです。

 度重なる隔離や孤立の中で、社会に対する怖れを持ってしまったり、社会とつき合う力が損なわれてしまった人々に対して、そのような包括的かつ具体的な社会的リハビリテーションが日本で生まれるために、私たちが草の根で出来ることとは、なんでしょうか。

 心に問題を抱える人のために、安心して地域で暮らしていく拠点となる場や、社会との接点を持つきっかけとなる場を創出したいと考え、今まで私たちは<精神障害者>の共同作業所を設立し、およそ15年にわたって運営するなどの取り組みを重ねてきました。その中で私たちは、特に運営上の基本的な理念として<精神障害者>の人権が尊重されるように、自己決定のみならず、施設についても利用者主体の運営ができるように模索してきました。

 しかし、その過程で責任の所在が不明瞭となったり、社会的信頼を得にくかったり、さらに法人格を持たないために民間企業や国からの助成金が受けられないことも度々ありました。そのようなことから、私たちは先の理念を基本に据えつつ、組織を再編成し、明文化された意志決定のプロセスを持ちながら、継続的に安定した活動を行い社会的使命を負い得る特定非営利活動法人格を持つことが、<精神障害者>を支援する私たちの今後の活動には不可欠であるとの結論に達しました。

 そして、これまでの共同作業所運営事業を起点に、民間非営利活動の持つ先駆性、透明性、自己実現、雇用吸収、地域活性、市民参加などの利点を活かしながら、さらに<精神障害>に関する相談事業や地域での啓発事業などを将来的に展開し、社会との接点を増やしていきたいと考えています。それらの事業を通じて私たちは<精神障害者>の福祉の向上と自立を支援し、また、障害を個人の欠損ととらえる従来の立場を離れ、障害が、人格を持った個人と環境との相互作用によってもたらされるものであるとの新たな視点から、「ひとがひととして尊重され、障害の有無などの互いの違いを超えて理解し、認めあい、それぞれの人間が尊厳を持って関係しながら心豊かな文化的生活を営める地域社会をつくっていくこと」を目標に置き、これを以て社会全体の福祉の増進に貢献することができると信じています。

                        2002年12月1日

活動理念

​初代代表挨拶

 現代はストレス社会だ、といわれる様になって随分経ちました。うつ病の方や自殺者の急増が注目され、その背景には企業の効率化重視、ITストレス、情報の過多とスピード化、コミュニティーの崩壊や対人関係の希薄化など、様々な要因が取りざたされています。さすがに国は事態を重く見て、ようやく自殺対策や産業衛生面の制度化に乗り出しました、その効果か本年度の自殺者は多少減少したようです。しかし、これは社会的にみれば、むしろ中心にいる人たちのための動きとも云えそうです。一時期流行語になった「自己責任」に象徴される<自分の面倒は自分で見ろ>的な、一見筋の通った強者の理論が最近また台頭してきていますね。人が人に無関心になれば、当然自己中心的になってきます。仕事ができるとか自分で動けるとか、何か一面的なAbilityの側面だけで判断され、その人の生きる多様性は問われなくてもよいといった薄っぺらな風潮がこのところ大きな顔をしているように感じます。

 障害者福祉・精神保健の世界は今、非常に大きな曲り角に来ています。これは本当に大変なことで、今、しっかりと方向を見失いようにしないと、将来大変な事態になってしまうことなのです。われわれの先人たちの努力が実って、精神医療はやっと人目に触れるようになって来ました。昔だったら病院や施設に入ったままそこで生涯を終えてしまっていたような障害を持った人達が、なんとか町で暮らせるようになって来ました。このことに関しては多くの先輩たちの活動の成果であり、やっと日本も世界の水準に手の届く状況となってきたのだといえます。そういった変化の副産物のように、いろいろな事件が度々起こるようになりました。しかし、いまだに精神科通院歴が事件との相関を持つように報道されたり、「問題のあるものはどこかに閉じ込めておけ」といった、隔離政策への逆行を扇動するような意見がまかり通っています。これではまだ障害者の"平等に社会に住む権利"が通用しているとはいいがたい状況です。

 ここ数年、障害者基本法の改正(2004)と障害者自立支援法(2006施行)によって、障害者がひとつの法律に則って考えられてゆく大まかな方針は決定されたといえます。しかし、障害者自立支援法は、福祉・保健行政の自治体への権限移行に伴って多くの経済的理由が優先された結果、本来の理念とはまったく隔たったものになってしまいました。また、その背景には"必要に応じて"サービスが受けられるはずのものが、"サービスは買うもの"という、発想の変質があるようです。私たちが描いている、"障害を持ってしまった人も持たなかった人も、それぞれが、その人らしく生活する社会の実現"は、むしろ少し遠ざかってしまったのではないかとも思える状況です。そういった状況の中で、これからも私たちは、時代の流れは流れとして しっかりと見極めながらも、最初に自分たちが感じた気持ち、「これって変じゃない?」という直感・感覚を忘れず、これからの"精神障害者"の地域生活支援、ともに暮らす社会を作ってゆく方法を模索して行こうと考えております。

 私たちの運営するNPOである『響心会』は、企業や家族会といった特定の母体を持たない自然発生的な集団です。そのため、現在の公的財源抑制の状況で活動を続けることはますます大変になってきています。今まで以上に皆様のご支援とご理解を必要としています。私たちは、東京、世田谷という場所で、草の根的な活動として2箇所の作業所を中心に地域生活の障害者支援活動を続けてきました。規模はささやかなものですが、私たちの活動は個性的なものと自負しています。私たちのかかわっている作業所のひとつは"話し合いで一緒に作り出す場所"を、もうひとつは"音楽"というコミュニケーションを通してつながる場"を特長としています。どちらも、スタッフとメンバー、障害を持ってしまった人そうでない人も同じ場を共有する感覚を大切にして、できるだけ障害の有無という差を、単なるそれぞれの違いとして解決してゆけるような場になるように心がけています。そして、特に精神保健や福祉という限られた領域ではない、多くの地域の方や音楽好きの方々に参加していただけるように、障害のバリアフリーを目指して運営してゆこうとしています。

 今後とも、一層の皆様のご支援とご理解を賜りますことをお願い申しあげます。

​2007年4月18日

特定非営利活動法人 響心会 初代代表  高沢 悟

 

略歴

高沢 悟: 

帝京大学医学部大学院卒  医学博士  精神保健指定医

平成元年より帝京大学医学部付属病院を経て帝京大学溝口病院精神科助手

平成2年より碧水会 汐ヶ崎病院医師、理事を兼任

平成11年より、日本赤十字社医療センター 精神科勤務

平成18年より、高田馬場新澤ビルクリニック 院長
平成24年より、桜桂会犬山病院 副院長

平成27年より、桜桂会犬山病院 院長

皆様のご寄付とご協力をお願いいたします

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